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2013/09/19

BioShock: Infinite(バイオショックインフィニット)

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 主人公ことブッカーは借金を帳消しにしてほしければ写真の娘を連れてこいという甘い言葉に従い、空中都市の動乱に巻き込まれていく。

 クリア時間は10時間ほど。プロデューサーの「BioShockの名を冠してはいるが、続編というわけではない」という言葉通り、今作は似た要素をもった新作と捉えるべきだろう。

 悲しいことに前作と(呼ぶにはおこがましいが)比べ、戦闘密度は明らかに下がった。前回のような狭い空間で戦闘は行われず、今回からは基本的に広いマップの中で戦闘が行われるのだが、広いせいか敵がまばらに配置されているため、どうしても散漫にならざるを得ず、反撃を仕掛ける時には瞬発力が必要とされ、ロスの多い能力を使う必要性を感じる場面が少なかった。
 また動く方向が提示されているかのように固定されており、自由に戦っているという感覚が薄い。
 武器は二種類しか持つことができず、前作ではそれぞれ独特な効果を持っていたが、それもなくなり、一般的な武器に留まっている。

瞬発力を求められることが多い


 ゲームの目玉であるビガーと呼ばれる超能力も味付け程度のものでしかなく、戦闘を大きく変えるようなものではない。また、ロールプレイングゲームでいうところのMPを回復するような補助アイテムが前作のようにストックすることができないため、能力を頻繁に使うというプレイの仕方は難しい。そのため、積極的に戦闘を行いたいという気持ちはまったく感じられなかった。

 戦闘も場当たり的なものが多く、攻撃を仕掛ける準備をしている余裕があまりないため、忙しない印象を受ける。
 弾薬の異様な少なさはプレイヤーに緊張感を強いるための仕組みかもしれないが、常について回るコンパニオンが弾が切れそうになる度に必ず供給を施すため、遅いリロードとしか思えず、いらだつ場面が多い。
 またこのコンパニオンの補助スキルも戦闘を劇的に変化させるようなものではなく、補助としても弱いため、恩恵を感じられることは稀だった。

一緒にいる感覚はあるものの、一緒に戦っているという気は意外にも感じない


 今作の敵は特殊能力を使用してくるものは稀で、基本的にはただ固い、ただ厄介という面倒なタイプの敵が多く、また上記したように場当たり的な戦闘と武器の簡略化のため、戦略を立てて戦うというシリーズの醍醐味が失われており、鬼ごっこか撃ち合いに終始していることが多かった。

脅威を感じる場面はないかもしれない


 全体的なスピード感にも欠けている。
 大々的に告知されていたスカイラインも全体のスピードの欠如を誤魔化すためのギミックとしか思えず、必要性自体に疑問詞がつく。
 移動の度に読み込みが起こるのも、ゲームを中断されている感覚が強く、苛立つことが多かった。

 ゲームエンジンのアップデートに並行してテクスチャやモデルは底上げされたものの、色彩が豊かなだけであって、一般的な水準を抜け出ていない。またエフェクトやテクスチャは一部、前作に劣る場面も少なくない。
 インタビューで語られたいくつかの敵や、システムも何の発表もなくボツにされていることも不満に感じる。

水が出てくる場面はあまりないが……


 特に問題であると感じたのは没入感に関する部分だった。
 前作では、荒れ果て、出来事があってから時間の経過した空間で、その場面に立ち会っている人間の心理状態や、その場の出来事を記録したテープを再生させるという行動が世界の広がりを見せていたが、今回テープの役割をするアイテムはただの伝言やイベントを臭わすためのツールとしてしか生きていない。
 また、あれほど足音や影、体に被る水など、プレイヤー自身に与える効果を意識していたはずのものが、一掃されてしまっているなど、没入感を与えようという意図が皆無なため、緊張感が持てず、世界やキャラクターへの愛着は持ちにくかった。

 前作では20世紀初頭の科学万能主義への批判というテーマが取り上げられていたが、今作ではアメリカという国の文化・歴史の自己批判的側面に絞られている。前作のテーマがどの国も経験してきた共有できるテーマなのだとしたら、今作のテーマは共有できる者と共有できない者とに明確に別れるものだろう。そしてその大半が共有できない者に分類されるように思う。アジア圏やアフリカ圏は特にその感覚が強いかもしれない。

 後半のクリストファー・ノーラン風の演出で、あらゆることを煙に巻いている部分も疑問が残る。

欧米にありがちな自己批判(肯定)が多い

 
 BioShockというゲームタイトルに一度も触れたことのないユーザーには、是非ともプレイしてほしい……と言いたいところだが、価格的にも、内容的にも劣った印象が強いので、旧作をプレイしたユーザーがお布施をするという意味合いで購入するのが丁度いいのかもしれない。

 このゲームは綺麗に包装されたジャンクフードの詰め合わせであって、手垢にまみれた職人の料理ではなくなったのだろう。見事に「広告費に金を使っているゲームは駄作」のジンクスを継承しているが、BioShockの精神は受け継いでいないとみるべきだ。


没入感:低い 
ストーリー:低い 
グラフィック:普通 
戦闘の魅力:低い 
リプレイ性:低い 
PC負荷:やや高い 
問題:劣化した戦闘、劣化したシステム、
    偉大すぎるBioShockというタイトル。 
総合:5/10

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