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2014/06/10



 主人公とその息子は飛行機事故に巻き込まれ、無人島に不時着する。かすれゆく意識の中、主人公の目に映るのは気を失った息子を抱きかかえ、どこかに連れさっていく人喰い部族の男の姿だった。

 ファーストパーソンビューのサバイバルアクションゲーム。GreenLightで高い評価を得たThe Forestの早期アクセスが解禁されたので、さっそくプレイした。現状のプレイ時間は5時間ほど。

 (このレビューは早期アクセス版のものです。アップデートによって大きく変わる可能性があります)

雰囲気を重視しているためか切り倒した木も“ブロック”に変化したりはしない


 ゲームの概要としては“サバイバルをして生き残る”という他ない。似たようなゲーム感といえばDon't Starveが印象としては近いが、そちらほどコミカルではなく、とにかくリアルなサバイバルを追求したという感触だ。

  流石に森を題するだけあって、木々の描写は美しい。草木の動きや配置はとても自然で
、森のなかを歩いているだけで、その場にいるかのような錯覚を起こさせる。
 音響もまた、深く作りこまれおり、テクスチャやモデリングの細部は無駄がない。
 それ故に海辺の作り込みの甘さはやや目立つものの、早期アクセスの時点でも高い水準にあるのは間違いない。

The Forestというだけあって流石だ


 サバイバルゲームの醍醐味は「自分の行動を拡張していく」という点にある。
 雨露をしのぐために家を作る、という行動は、結果的にアイテムの保存場所や、身を守るためのセーフハウスとしての機能を持つ場になる。危険な敵から身を守るために武器を作るという行為は、ある程度の危険を犯すことが可能となり、遠くへと移動することができる、ということに繋がる。
 しかし、The Forestにはそれがない。何をしようともただ不便であり、淡々と時間を浪費している感覚しかない。未完成であるという前提であっても、通常それなりの楽しみがあるのもだが、このゲームにはあまりにも楽しみが足りていない。
 微弱ながらもアイテムをクラフトするシステムもある。かなりの労力が必要になるものの、砦やログハウスを作ることも可能だ。武器も精製できる。しかし、それによって行動が拡張される、ということは現状まったくない。
 せいぜいが少しの達成感と満足感を得られるだけだろう。

英語ながらも基本的なガイドとクラフト機能は実装されている


 その原因は敵として存在する「人喰い部族」にある。彼らは時折、プレイヤーの近くに突如出現する。時間を掛けて作った砦を一瞬で破壊し、プレイヤーを数発で殺傷するパワーと、強靭な耐久力を持った彼らは、集団で襲いかかってくる。
 彼らに対処するためのトラップもあることにはあるが、日ごと現れる彼らに対して、使い切りのトラップを作り続けるには、圧倒的に時間が足りない。強力な武器も弾数や素材に限りがあり、なかなか現実的な対処方法ではない。
  そのため、プレイヤーは彼らが現れる度に、遠くに逃げ、声を殺して隠れるしかないのだ。
 打開策もなく、不自由さを耐えながら、敵に怯え、無為な時間を浪費している状況は、はっきりいって苦痛以外の何ものでもなかった。

とにかく素早く、とにかく硬い


 それでもこのゲームを評価する最大の理由は、それが待ち望んだサバイバルゲームだからだろう。美しい木々の描写と、グラフィック、孤独な無人島生活でのサバイバルというシチュエーションに憧れる身としては応援せざるを得ない。
 早期アクセスゆえにまだ多くのバグを孕んでいるが、細かなアップデートやユーザーの意見交換、バグレポートのやり取りも多く、CO-OPの実装を予定しているという点も期待する要因のひとつだ。
 
雰囲気ゲーとしては大きく好みが別れるところだろう


 総評として至極私的な意見を述べるなら、かなりの期待を込めた一作ではあるものの、現状ではお世辞にも人には薦められないと、いったところだ。そうするにはあまりにも未成熟するぎる。
 もしも、このシチュエーションに憧れる心を持ち、不自由なサバイバルと、多くのバグを笑って済ませられる気持ちがあるのなら、このThe Forestに触れてみてほしい。


没入感:やや高い
ストーリー:-
グラフィック:高い
戦闘の魅力:普通
リプレイ性:高い
PC負荷:高い
問題:早期アクセスゆえの未完成感。
総合:4/10
(このレビューは変更される可能性があります)

2014/06/05


 共産主義国家のアルストツカは長きに渡る戦争の末、領土を拡大した。主人公はその動乱も冷めやらぬ中、入国審査局の職員となってアルストツカに入国しようとする人々を選定する。

 2Dパズルゲーム。クリアには二時間ほど。
 ペーパープリーズ(以下PP)は異質でありながらも、正々堂々としたパズルライクなゲームだった。
 ゲームの内容としては制限時間内に入国希望者の提出する書類が正しいものかどうかを判断するだけ、という一言に尽きる。しかし、これがなかなか難しい。

チェック項目は常に変化する


 偽造されたものや、書類不足を半自動的にチェックしてくれるような仕組みもあることにはあるものの、それを意識して使うかどうかはプレイヤーに一任されている。つまりそれは、ちょっとした不注意や、見過ごしがスコアに響いてくるということでもあり、ミスをしないということの難しさを知るということでもある。

常にプレイヤーはギリギリだ


 ゲーム内のスコアはプレイキャラクターの給料に直結している。スコアが高ければ、プレイヤーは裕福になり、低ければ低いだけプレイヤーの家族は貧窮する。貧しさゆえに死を迎えるということもある。
 そうならないためには、あの手この手で騙そうとしてくる入国者を素早くさばき、暗い結末の多いマルチエンディングから、明るい未来を選択するしかないのだが、それは至難の業だ。

狭すぎるテーブルは明らかに意図されたものだ


 一見すると地味で単純なゲームに聞こえるかもしれない。しかし、PPは実に奥深い。どう考えても偽造でしかないキャラクターがいたとしても、それが現時点での審査で何も問題がなければ、通さなくてはならない場面もある。よくよく注意深く見れば武器を隠し持っているキャラクター、涙ながらに自分の生い立ちを語る者、貧窮する場面の多い中、賄賂を誘う声など、プレイヤーの良心を揺さぶる演出も多い。システムだけで見れば、その作りは実際の入国審査官と何も変わらないのかもしれない。

 このゲームは問題の難しさという点ではなく、自分との戦いという意味において、パズルゲームであり、難問であり、そして面白い。

 ゲームの容量は低く、負荷も感じられない。デフォルトで日本語も封入されているので、自分を試したいユーザーには是非とも購入してもらいたい。


没入感:普通
ストーリー:普通
グラフィック:低い
戦闘の魅力:高い
リプレイ性:高い
PC負荷:低い
問題:淡々としているためカタルシスを得にくい。
総合:6/10

 
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