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2015/02/23

Evolve(エボルブ)Betaレビュー

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 開拓中のある惑星が今様に放棄されようとしていた。原因はその惑星に住む怪物たちだった。取り残された生存者を宇宙に逃がすため、わずかな時間をかけてハンターたちは武器を手に取り、戦う。

 今回は名作L4Dを作り上げたTurtleRockの最新作Evolve(以下エボルブ)のアルファテスト、ならびにクローズドベータのインプレッションを解説を含めながら紹介したいと思う。

 ※このレビューはAlphaとBetaのものです。また、本稿はゲームモードHUNTのみの感想です。

多くの賞を受賞したことは記憶に新しい


 合計プレイ時間は50時間ほど。 ファーストパーソンビューのプレイヤーバーサスプレイヤーアクション。
 全体の流れとしては5人のプレイヤーが、モンスター側と四人の人間側に分かれて、広大なマップで戦闘を行うというものになる。モンスター側の勝利条件はプレイヤーが全員死亡すること、もしくは人間側の拠点を破壊すること。人間側の勝利条件はモンスター側の死亡か、リミットタイムまで生き残ること。

想像以上のスケールをもつモンスターのひとつ“ゴライアス”


 それぞれの特色として、まずモンスター側は総じて人間側とは比較にならないほどのパワーを持っている。また、モンスターごとの固有能力を除き、基本的なスキルとして、現地生物を一定数捕食することで、進化(エボルブ)し、いちじるしく己を強化することができる。他にも壁越しからの位置把握、足あとを消すスニークや食事によって回復するシールド、孤立したプレイヤーを捕獲しダメージを与え続けるスニークアタックなど多彩なアクションを持っている。重要な点は一度死んでしまえばゲーム終了ということ。
 人間側の特色としては、それぞれが高火力高耐久度を持つアサルト、絡め手と遠距離支援を得意とするサポート、唯一モンスターの行動範囲を制限し小さな空間に閉じ込める能力を持つトラッパー、唯一仲間を回復する手段を持つメディックの4つのクラスに分かれ戦闘を行う。基本的なスキルとしてどのキャラクターもジェットパックを背負っており、自由に飛び回りながらマップを駆け抜けることができる。また、チーム間でマップ上に注意を示す「スポット」がある。重要な点はプレイヤーがひとりでも生きていれば(体力のペナルティはあるものの)何度も復活可能ということ。

立ち回りなど、いつでも確認できるチュートリアルは便利だ


 戦場の舞台となる惑星シーアは広く、美しい。どのマップを選択しても同じ構成、同じ雰囲気のものはないだろう。
 飛び回りながら行う戦闘のアクションはどれも派手で、瞬発力が高く、密度がある。見上げるようなモンスターは恐ろしく、先が見えない戦闘は続けていて面白い。連携が見事に決まった時の喜びは計り知れないものだった。しかし、これらの喜びは人間側のものだ。決してモンスター側で得られる喜びではない。
  モンスター側がつまらないということはない。モンスター側にも密度と瞬発力のある戦闘はあるし、 先の見えない戦闘はやはり面白い。人間側の連携を崩したと確信した時、あるいは密かに進化し、最終段階まで上り詰めた時、その快感は人間側ではなかなか得られるものではない。

こうなっては仲間に助けてもらわないかぎり抜け出せない

 
 両者の明確な違いは“気軽さ”に他ならない。当然のことながら人間側は互いの力を補い合うことができる。ミスがあったとしても、誰か一人さえ生きていれば良いという絶対的なルールは、どんな致命的なミスが行われても、その責任の比重を甘くする。替えの効かない能力を持つトラッパーとメディックが先立って死亡したとしても「他のプレイヤーにも責任が分割されている」という無意識の思考と「二分後にはまた復活する」という強固なルールは、人間側のプレイに対する緊張感を緩和させ、テンションを維持させ続ける。
 しかし、対するモンスター側のミスは誰のものにもならず、その責任は必ず自分に行き着く。そして死はゲームの敗北を意味する。その巨大なプレッシャー故にモンスター側の基本的な行動は「人間側との戦闘を極力回避する」というものに行き着き、誰もが安定的な戦闘を行えるまで逃げまわり、捕食を続け、怯え潜みながら進化するという選択しか選ばないし、回復手段のない現状ではその選択肢しか“選べない”のだ。
 
 この致命的な問題は見事にエボルブの魅力を削いでしまっているように感じられた。
 TurtleRockの想定していたゲームの内容は「適度に追いつき、適度に追いつかれる鬼ごっこ」であっただろうことは想像に難くない。事実それはアルファテスト当初に見られたもので、多くのプレイヤーがその素晴らしさに賛美の言葉を送ったものだ。
 しかし、現状は「ひたすら逃げ続けるモンスターをひたすら追い続ける人間たち」 でしかない。変化があったとしてもそれは「人間側の勝利」という図か「進化して強くなったモンスターがひたすら追い続け、ひたすら逃げ続けながら戦う人間たち」という退屈な図だ。

戦闘前には両者ともにブーストされるステータスをひとつ選択できる


 間違っても事態の変化を否定するわけではない。 追うものが追われるものに変わるという図式は、追われるものだった側からすれば、至極まっとうなカタルシスのあり方だ。
 問題はそこに至るまでの過程の長さと、その「逃げ続ける、追い続ける」という何も起こらない過程を両者ともに望んでいないという点だろう。

キャラクターは使い続けることで成長し、基礎能力にボーナスがかかる

 モンスター側の不満ばかりを上げたが、人間側の不満もある。それは「強制された協力関係」だろう。エボルブはL4Dシリーズであったような「突出した能力があれば孤立したプレイヤーでも生き残ることができる」という状況と「場合によっては積極的に仲間を見捨てる」という二つの状況からなる協力プレイを無視したゲームを廃するためか、孤立したプレイヤーはすぐに死亡してしまうようにできている。また他人の操るクラスの固有能力の恩恵を受けるためには必然的に固まる必要があり、またそれなくしては戦闘が成り立たないため、散らばり、効率的にモンスターを追いかけるというようなことは行いにくい。自由に行動できない感覚と、ひたすら追い続けなければならないというプレイは、人によっては強い苛立ちと、窮屈な印象を覚えるかもしれない。


第三段階まで進化したモンスターには勝ち目がない


 至極、ひいき目な感想になるが、エボルブは面白い。 つかれず離れず、という図式が見事にハマった試合は勝敗抜きで楽しかったと納得できるものだった。ゲームバランスの良さはここ最近では随一のものだ。縦横無尽に飛び交いながらの戦闘は想像以上に熱狂させられた。
 エボルブは確かに完成されているといえるだろう。しかし、それは協力プレイとしての完成度ではなく、あくまでも競技ゲームとしての完成度だ。そこに“気軽さ”はないかもしれないが、競技的な喜びや楽しみはある。それを踏まえた上での購入を望むなら、これほど歯ごたえのあるゲームはないだろう。


没入感:普通
ストーリー:普通
グラフィック:高い
戦闘の魅力:高い
リプレイ性:高い
PC負荷:高い
問題:競技ゲーム特有の息苦しさ
総合:7.5/10

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