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2013/09/30



 次回作が書けない悩みを抱えながら、小説家アランは暗所恐怖症の妻と静かな湖の見える田舎町に旅行に来ていた。旅の途中、些細なすれ違いから二人は口論になり、アランは宿を飛び出す。宿の外で後悔し、謝ろう決心したアランの耳に妻の悲鳴が轟いた。二人は気づかないうちに闇の力に飲み込まれつつあった。

 プレイ時間は20時間ほど。サードパーソンビューのシングルホラーアクション。
 全体的な雰囲気としてはサイレントヒルが近い。シナリオ内でもスティーブン・キングを引用していることから分かるように、理不尽な現象によるホラーという展開が終始続く。

意外にもホラー要素は少ない


 ストーリー上に何度も登場する闇の力に侵された元住人は、あらゆる攻撃が通用しない。銃を撃とうが、車で跳ね飛ばそうが死ぬことはない。彼らに銃弾を当てるにはまず、ライトの光を使って、その体を覆っている黒い霧を取り除く必要がある。闇を取り払うことで初めて、彼らは攻撃を受け付けるようになるのだ。
 この一見、わずらしくも思える工程がプレイに濃い緊張感を与えている。四方からにじり寄ってくる敵に対して、バッテリーの残量を気にしながら、光を当て続け、早く早くと焦りながら戦う戦闘は最後まで飽きることがなかった。一度に、一人ずつしかライトを向けられないのも戦いに緊張を与えてくれる要素だ。光の道筋を照準として使っているなどゲームらしさを取り除きながらも、上手く作りこまれている。
 アランの異様な体力の低さと、ひ弱さもプレイの緊張感に拍車をかけてくれている。
 弾薬が底を尽き、命からがら街灯の下に逃げることができた時の喜びは計り知れない。

光と闇の描写は素晴らしい


 アランも決して弱い主人公というわけではない。一般的なゲームの主人公並に武器は即座に使ってみせるし、どんな攻撃も少しすれば回復する。ただ、それにも増して敵は手強く、あの手この手でアランを倒そうとしてくるだけだ。

彼らは集団でアランに襲いかかってくる


 ストーリーはアランが妻、そして一週間分の記憶を失ったという状態を、海外ドラマの“てい”で進んでいく。シナリオの節目ごとに「前回の続き」といった調子でおさらいが始まる部分など、馴染み深いプレイヤーも多いかもしれない。
 キャラクターも豊富で、それぞれが思惑を抱えながら進んでいくなど、手抜き感がなく、よく考えられている印象を受ける。
 失った一週間の間に、何があったのかということをマップ中に配置されているアランの原稿から読み取っていく点は、町や人々にじっくりと侵食していく異変を直に感じられるようで、とても興味深かった。
 これほど入念に練られたシナリオに不自然なく組み込まれているシステムも珍しい。

 同時に惜しいと思う点はそのシナリオでもある。
 途中までテンポよく進んでいくものの、最後の段階から物語りを収束させるために、かなりの無理をしているように感じられた。いくつかの関係を匂わせたまま、放置しているキャラクターはまだマシな方で、今までほとんど姿の見えなかったキャラクターが突如として表れ、当然のごとくアランがそれを受け入れてしまう場面はいささか強引だった。
 形だけのボス戦が終わった後の唐突に終わりを告げるシーンは、それまでが順序良く進んでいただけに、半ば呆然とした。
 説明不足を補うために用意された「特別編」は退屈極まりない。目的やストーリーが明確に定まっておらず、先の見えない道を延々歩かされているかのような徒労感はアランウェイクとしての本来の楽しみを大いに奪ってくれた。

半端さが隠し切れない精神世界


 FarCry3でも同様のことを感じたが、精神世界の導入はあらゆることが許され、あらゆる物語りに二面性や深みを持たせることができるかもしれない。しかし、それは“作り手”としての視点であったり、価値観であって、“プレイヤー側”に立った価値観や視点ではない。
 そのギミックが楽しさに繋がるのかどうかということを制作側は、もう少し真剣に考えるべきだろう。
 総評としては傑作に成り損ねた秀作といったところか。


没入感:普通
ストーリー:やや高い
グラフィック:やや高い
戦闘の魅力:高い
リプレイ性:低い
PC負荷:高い
問題:解答を見いだせないまま終わったストーリー。
総合:7/10

2013/09/19



 主人公ことブッカーは借金を帳消しにしてほしければ写真の娘を連れてこいという甘い言葉に従い、空中都市の動乱に巻き込まれていく。

 クリア時間は10時間ほど。プロデューサーの「BioShockの名を冠してはいるが、続編というわけではない」という言葉通り、今作は似た要素をもった新作と捉えるべきだろう。

 悲しいことに前作と(呼ぶにはおこがましいが)比べ、戦闘密度は明らかに下がった。前回のような狭い空間で戦闘は行われず、今回からは基本的に広いマップの中で戦闘が行われるのだが、広いせいか敵がまばらに配置されているため、どうしても散漫にならざるを得ず、反撃を仕掛ける時には瞬発力が必要とされ、ロスの多い能力を使う必要性を感じる場面が少なかった。
 また動く方向が提示されているかのように固定されており、自由に戦っているという感覚が薄い。
 武器は二種類しか持つことができず、前作ではそれぞれ独特な効果を持っていたが、それもなくなり、一般的な武器に留まっている。

瞬発力を求められることが多い


 ゲームの目玉であるビガーと呼ばれる超能力も味付け程度のものでしかなく、戦闘を大きく変えるようなものではない。また、ロールプレイングゲームでいうところのMPを回復するような補助アイテムが前作のようにストックすることができないため、能力を頻繁に使うというプレイの仕方は難しい。そのため、積極的に戦闘を行いたいという気持ちはまったく感じられなかった。

 戦闘も場当たり的なものが多く、攻撃を仕掛ける準備をしている余裕があまりないため、忙しない印象を受ける。
 弾薬の異様な少なさはプレイヤーに緊張感を強いるための仕組みかもしれないが、常について回るコンパニオンが弾が切れそうになる度に必ず供給を施すため、遅いリロードとしか思えず、いらだつ場面が多い。
 またこのコンパニオンの補助スキルも戦闘を劇的に変化させるようなものではなく、補助としても弱いため、恩恵を感じられることは稀だった。

一緒にいる感覚はあるものの、一緒に戦っているという気は意外にも感じない


 今作の敵は特殊能力を使用してくるものは稀で、基本的にはただ固い、ただ厄介という面倒なタイプの敵が多く、また上記したように場当たり的な戦闘と武器の簡略化のため、戦略を立てて戦うというシリーズの醍醐味が失われており、鬼ごっこか撃ち合いに終始していることが多かった。

脅威を感じる場面はないかもしれない


 全体的なスピード感にも欠けている。
 大々的に告知されていたスカイラインも全体のスピードの欠如を誤魔化すためのギミックとしか思えず、必要性自体に疑問詞がつく。
 移動の度に読み込みが起こるのも、ゲームを中断されている感覚が強く、苛立つことが多かった。

 ゲームエンジンのアップデートに並行してテクスチャやモデルは底上げされたものの、色彩が豊かなだけであって、一般的な水準を抜け出ていない。またエフェクトやテクスチャは一部、前作に劣る場面も少なくない。
 インタビューで語られたいくつかの敵や、システムも何の発表もなくボツにされていることも不満に感じる。

水が出てくる場面はあまりないが……


 特に問題であると感じたのは没入感に関する部分だった。
 前作では、荒れ果て、出来事があってから時間の経過した空間で、その場面に立ち会っている人間の心理状態や、その場の出来事を記録したテープを再生させるという行動が世界の広がりを見せていたが、今回テープの役割をするアイテムはただの伝言やイベントを臭わすためのツールとしてしか生きていない。
 また、あれほど足音や影、体に被る水など、プレイヤー自身に与える効果を意識していたはずのものが、一掃されてしまっているなど、没入感を与えようという意図が皆無なため、緊張感が持てず、世界やキャラクターへの愛着は持ちにくかった。

 前作では20世紀初頭の科学万能主義への批判というテーマが取り上げられていたが、今作ではアメリカという国の文化・歴史の自己批判的側面に絞られている。前作のテーマがどの国も経験してきた共有できるテーマなのだとしたら、今作のテーマは共有できる者と共有できない者とに明確に別れるものだろう。そしてその大半が共有できない者に分類されるように思う。アジア圏やアフリカ圏は特にその感覚が強いかもしれない。

 後半のクリストファー・ノーラン風の演出で、あらゆることを煙に巻いている部分も疑問が残る。

欧米にありがちな自己批判(肯定)が多い

 
 BioShockというゲームタイトルに一度も触れたことのないユーザーには、是非ともプレイしてほしい……と言いたいところだが、価格的にも、内容的にも劣った印象が強いので、旧作をプレイしたユーザーがお布施をするという意味合いで購入するのが丁度いいのかもしれない。

 このゲームは綺麗に包装されたジャンクフードの詰め合わせであって、手垢にまみれた職人の料理ではなくなったのだろう。見事に「広告費に金を使っているゲームは駄作」のジンクスを継承しているが、BioShockの精神は受け継いでいないとみるべきだ。


没入感:低い 
ストーリー:低い 
グラフィック:普通 
戦闘の魅力:低い 
リプレイ性:低い 
PC負荷:やや高い 
問題:劣化した戦闘、劣化したシステム、
    偉大すぎるBioShockというタイトル。 
総合:5/10

2013/09/16


 突如として現れた大量の昆虫やUFOは人類に攻撃を開始した。異星人の侵略に対して人類は協力し、彼らに対抗を始めるというストーリー。

 クリア時間は5時間ほど。基本的な流れとしてはプレイヤーは4つの特徴あるクラスから、どれかひとつを選択し、大挙して押し寄せてくる敵を蹴散らすためにひたすら銃を打ち続けていくという形になる。

 元々日本のシンプルシリーズのひとつだった人気作を海外のスタジオに移し、開発元のサンドロットは監修という立場で作られたためか、全体的にアメリカンテイスト溢れる雰囲気になっている。

特撮的な雰囲気は一新され、リアルな方面に作られている


 開発元が移ってからの大きな変化としては今回、初搭載されたオンラインCOOPと、クラス制の導入だろう。二人プレイまで可能なCOOPは今までもあったが、今作は三人までプレイ可能と拡張され、オンラインで離れた場所の友人と遊ぶことができるようになった。サバイバルモードでは六人まで遊ぶことができる。
 クラス制の導入はシリーズの印象を大きく変え、それぞれが持つ特殊な効果によって、戦闘の幅は広がった印象を受ける。

 しかし、プレイを進めていく度に浮かぶのは惜しいという言葉ばかりだった。
 マップの風景はほぼ変わることがなく、ミッションの流れも変化が見られなかった。新たにデザインされた敵のロボットやUFOも非常にチープで、頻繁に動くため、攻撃が当てづらく、ストレスになりやすい。
 巨大なロボットは一定の場所、敵の輸送船らしきものは一定の時間とタイミングでしか攻撃を受け付けない。また、どうしても攻撃を与えるため、視線を上向きにしなくてはならないのだが、敵の雑魚はこちらの事情など構わず押し寄せ、視界外から攻撃を当てようとしてくる。そのためプレイヤーは上下左右を常に意識しなければならないが、どうしても無理があり、攻撃を避けられないため、納得のいかないダメージやダウンが多くなってしまう。敵の母船か巨大ロボットに雑魚が重なったミッションは非常に退屈かつ、ストレスの多いものだった。

重量感があり、攻撃も多彩だがほぼ前面からしか攻撃を受け付けない


 巨大ロボットオンリーの戦いであっても、巨大ロボットは近くのプレイヤーを狙うため、プレイヤーはどうしても散開せざるを得ない。しかし、散開してしまうと狙われているプレイヤー以外は背中か側面しか見えず、弱点を捉えられないため、終始走り回っているという状況に陥りやすい。これは大ボス、中ボスであっても同じであり、時間のロスが激しく、退屈だった。

 演出もどうにも“ちぐはぐ”で、思わせぶりに現れた敵の巨大ロボットを倒してみても、次のミッションで当然のように雑魚と紛れて出てくるのでは、先ほどの演出はなんだったのだろうと思ってしまう。

 クラスの成長システムも使用したクラスのみの成長しか望めず、武器をアンロックするために必要なやポイント等は共通していないため、今回は別のクラスを使ってみようといった行動が取り難い。
別のクラスも育てながらストーリーを進めてしまうと、フレンドは高レベルなのに自分はその半分もいっていないといった現象や、ストーリーは進んでいるのにレベルが低いままということが起こってしまう。

戦車の挙動もどこか軽い


 アリやクモのモデルは前作とほぼ変わらない印象だが、新たに作られたロボットやUFO等のモデルは非常に荒々しく、またデザイン的にも厳しいものが多い。前作のチープさが特撮的なチープさであったのに対して、こちらはデザイ的センスに欠けたチープさなため、見ていて物悲しいものがあった。

 革新的な試みや、やりこみ要素を強調しようとする心意気は強く感じるものの、どうにもミスマッチな感覚が強い。 同じ地球防衛軍シリーズというよりも、似たような何かという感想に尽きる。
 しかし、味方のAIの挙動は驚くほど良好なので、次回作があるのならば、こちらの方面も強化してもらいたい。



没入感:低い
ストーリー:低い
グラフィック:低い
戦闘の魅力:低い
リプレイ性:低い
PC負荷:普通
問題:敵の挙動の悪さ。
総合:4/10

 
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